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500年以上つづく「唐板(からいた)」を作り続けるということ ~現代に伝わる疫病よけの煎餅を作り続ける水田玉雲堂〜

 

 

 

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▲水田玉雲堂は、この「唐板」1種類だけを作り続けている

 

 

さくっとしていて、ほろ甘い。薄いけれど、しっかりしている。そして、ちょうど持ちやすい幅。素朴なんだけど、一度食べたら忘れられない味。そんな「唐板(からいた)」を、嫁入りしてから約30年、ご主人・勝之さんとともに作り続けている、水田玉雲堂の水田千栄子さんにお話を伺ってきました。

 

唐板って、どうやってはじまったの(唐板とは?)
 貞観五年(863年)、京では疫病が流行し、それを鎮めるために当時の天皇が神泉苑において御霊会を行った。その時、疫病よけとして「唐板煎餅」が神前に供えられたそう。応仁の乱後、上御霊神社の境内で茶店を始めたのが、水田玉雲堂さんの前身。そこで厄病よけの煎餅として世に知られるようになったのだとか。文明9年(1477年)に今の場所(上御霊神社の向かい)に店舗を構え、今でも特に茶道の三千家はじめ多くのお茶人に愛され、また地元の方々にも一般の贈答用、家庭用として親しまれている。
 
 

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▲水田玉雲堂は、上御霊神社の向かいにある

 

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▲昭和の頃は、お店は上御霊神社の境内の中にあったそうだ

 

 

 

唐板って、なんか模様があっておもしろい。昔から全部手作りなの?
 19歳でお父さんの後を継いだ勝之さん。なかなか思うようにいかず、ある程度納得できる物が作れるようになるのに10年ほどかかったという。当時は「なんで自分はこんなに唐板に縛られなあかんのや」と思ったこともあったそう。しかし、お父さんには「好きなようにやっていい」と言われ、唐板の状態を変えない範囲で色々と試行錯誤を繰り返してきた。一時はオートメーション化も考えた。しかし、季節や温度・湿度等によって、材料の分量、水の温度、焼き方などが微妙に異なってくる。それは、やはり自分の手で感じながらでなければ、一番いいものは出来上がらないのだろう。全部手焼き、というのは、唐板を1枚1枚じっくり見るとすぐにわかる。全部、模様が違うのだ。食べるときに、ついつい自分の気に入った模様を選びたくなるのも、唐板の魅力。
 
 
 

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▲煎餅はひとつひとつ手づくりで作られるため、模様もそれぞれ

 

 

唐板をつくっていて、面白いところは?
 「毎日同じものを作っているようでも、日々違うのよね。まだ、満足できる唐板を作ったことがないの。少なくとも平均値を保って、それ以上のところでベストにたどり着くまで、毎日が挑戦なんです。本当に飽きひんのよ。『明日こそ!』って、毎日思うわ。」
と、目をキラキラさせて語る千栄子さんの様子が印象的だった。
 
 
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▲水田さんに煎餅の工程を教えていただきました
 
 
 
 
どうやって、地元の人たちに親しまれてきたの?
 取材中、孫の手をひいたおばあさんが「唐板、4つ。」と買いにこられた。お孫さんはまだ2歳。そういえば以前に「子供の頃、よくおばあさんとここに唐板を買いに来たんです」という年配の女性がいらっしゃったそう。こうやって唐板が、その思い出とともに人をつなぐ。歴史をつなぐ。
本当に唐板が好きな人に、買ってもらいたい。その想いで、メディアにもほとんど出てこなかった。それだからこそ、京都の人は安心して“自分のお気に入りの店”として買いにくることができるのだ。まさに、京都らしさのあるお店。
 
 
 
なぜ「唐板」1種類しか販売してないの?
 「新発売」とか「期間限定」の文字に弱い女子からすると、抹茶味や生姜味があれば売れるんじゃないかな、と短絡的な考えが頭をよぎる。しかしご主人は、それをしない。それは、もし試作品を作ってみたとしても、今の唐板を超えるものにはならないからだという。やっぱり、この唐板が一番。それは、自分の舌に自信がないと判断できない。そう、まさに作り手の舌にかかっているのだ。この舌ができあがるのに、3代かかるそうだ。
 
 
 
時代がかわっても、これからも唐板は変わらず作られ続ける?
 現在は、後継者になりたいという若者に日々指導がされている。まだまだ修行中で、この先どうなるかわからない。もし味がきちんと引き継がれなければ、のれんを下ろす覚悟だ。水田家には、先祖代々この味を守ってきた。という使命感がある。この優しい味には、そんな強い信念が込められていたのだ。「続くかどうかを決めるのは、唐板やからね。」その言葉が、今も心に残っている。
 
 
 
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▲文明九年(室町時代中期)という文字の重みを感じるのれん

 

 

水田玉雲堂(みずた ぎょくうんどう)
住所: 〒602-0895 京都市上京区上御霊前町394
TEL: 075-441-2605
営業時間: 9:00~18:00
定休日: 日曜日、祝日
交通アクセス: 地下鉄「鞍馬口駅」出口1より、徒歩3分
ホームページ: http://gyokuundo.com/
お問合せ: info@gyokuundo.com
 
 
レポーター紹介
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脇野千寿
京生まれ、京育ちの京ムスメ。平日は、大阪で図面設計の仕事をしています。
好きなことは、からだに優しい・安心の食材で、おいしいごはんを作って、みんなで食べること。自分の生まれ育ってきたこの環境を大切にし、さまざまな人たちと助け合って刺激しあって暮らしていけたらなと思っています。マチレポは、貴重なお話を伺うことのできる機会であり、それをみなさんにお伝えできるのが素敵だと思います。ありがとうございました。
 
 

 


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