HOME   >>  特集情報TOP  >>  バザールカフェ 〜違いを大切にすること 人がつながる"市場(BAZAAR)"から

リンクページ

バザールカフェ 〜違いを大切にすること 人がつながる"市場(BAZAAR)"から

 
 
バザール10.jpg
▲バザールカフェの玄関
 
 
バザールカフェは今出川駅から歩いてすぐの場所にある。1998年、かつて宣教師が住んでいたヴォ―リス建築の洋館に設立されたカフェで、日替わりで多国籍の料理が提供されている。運営母体は日本キリスト教団京都教区で、営業利益に加え、寄付や助成金によって支えられており、多くのボランティアが携わっている。今回は設立5年目から大学生ボランティアとして運営に関わり始め、現在は専従スタッフとしてカフェの店長を務める月下 星志(つきした・せいじ)さんにお話を伺った。
 
 
月下2.jpg
▲月下 星志さん
 
~多様性を受け入れる“ゆるさ”~
バザールカフェは、就労の機会を得にくい在日外国人などの“社会的マイノリティ”と呼ばれる方々に雇用を提供する目的を持っている。
 
カフェの営業は働く人の負担を減らし、細く長く続けるため毎週木曜日から土曜日までの週3日のみ。彼らの体調に配慮し、連絡さえすれば休みや遅刻も許されている。その穴をカバーするのが、現在30人程いるボランティア。彼らも参加自由で、毎週来る人もいれば何ヶ月かに1回だけという人もいる。
 
そう、バザールカフェには一定の“ゆるさ”が保たれている。
もちろんカフェを運営する上で守るべきものはあり、スタッフに対して厳しく言うこともある。ソーシャルワーカー・外国人支援団体・教師などが構成する「運営委員会」が中心となって運営の方策が練られているが、“マニュアル”はここにはない。
 
『いろんな人が来るカフェだからマニュアルはつくりません。それだけ失敗もあるけれども、知恵を振り絞って、一人一人に向き合うことができるのです。マニュアルがないからこそのゆるい雰囲気がいいんですよ。』と、月下さんは言う。
 
 
バザール11.jpg
▲カフェの入り口の前には庭がひろがる。併設してタイの山岳少数民族の製品を集めて販売しているお店もある。
 
その“ゆるさ”の根源はどこにあるのだろう?
そもそもバザールカフェのはじまりは、宣教師の家でのホームパーティーだった。パーティーにはセクシュアルマイノリティ(同性愛者、両性愛者など、何らかの意味で「性」のあり方が少数派の方々)など様々な背景を持つ人が集まっていた。
それをもっと色々な背景を持つ人たちが誰しもくつろげる場にして、想いを共有し、困っていることを相談できるような場をつくろうとこのカフェがはじめられたのだ。
 
“ゆるい”からこそ『ここをステップにしてフツウの仕事に就けるようになって、もしそこで失敗してもまた戻ってきてもいいような場所になる。』それがバザールカフェである。
 
 
~多様な文化・宗教・価値観~
オープン当初は3年も続けばいいと思われていたそうだが、バザールカフェは今年で15年目。ここまで続いたのはお客さんやボランティアのおかげだと月下さんは言う。
ボランティアは学生や社会人、定年退職後の人や海外の留学生など年齢も様々。多くの人が少しでもカフェに貢献したいと思える空間がここにはあるのだろう。
 
月下さんによると、バザールカフェでの経験を通してボランティアの人たちの価値観も変わっていくそうだ。自分の基準で考えていた“フツウ”があたりまえではないということに、いろんな背景の人と関わる上で気づかされていく。
 
多様な文化・宗教・価値観の人が集まると衝突も起きる。バザールカフェではその違いの間で生じる衝突をあえて避けずに、ぶつかることで人間関係を作るようにしているそうだ。
 
『違いを大切にすることが大切です。』
月下さんは言う。
『“マイノリティ”というのはその人の価値観でしかなくて、だれかの基準で決められるものです。人は本来みんな違うのだから。バザールカフェの中では、社会で“マジョリティ”と言われている側が逆に少数派だったなんて時もあるんですよ。違う人に対して壁を作るのではなくて、この人にはこんな良いところがあるんだなと考えられるようになるんです。』
 
「お客さんに食事をお待たせしないように」という日本では当たり前と思われている価値観でも、文化が異なるとそれが違ってくる。文化の違いから、社会的マイノリティと呼ばれる人たちが普段感じている働きづらさまで、一緒に働くからこそ得られる気づきがたくさんあるそうだ。
 
 
 
~人と人との出会いがある場所、“市場(BAZAAR)”~
働く人たちにとって「いつでも受け入れてくれる空間」であるバザールカフェ。
もちろんお客さんにとっても特別な空間となっている。
「人と人とが会話してつながれる市場(バザール)のような場を作りたい」という想いからつけられた
“Bazaar Cafe”の名前。その名の通り、人がつながる情報共有の空間がそこにはある。
様々なチラシや本が置かれている他、定期的にイベントが開催されている。また弁護士や社会福祉専門の人などいろんな人が訪れる場所であるため、様々な課題を抱えている人に対してそれを解決できる人を紹介するパイプ役にもなっているそうだ。
 
 
バザール3.png     バザール4.png
店内に置かれたチラシや本
 
 
『インターネットの便利さも良いけれど、人と人とが向き合ってつながることに良さがある』
と月下さん。
 
そんな思いは宣伝方法にも表れている。バザールカフェは大々的な宣伝ではなく口コミで広がっているために、常連のお客さんが多く、「誰かの家に遊びに来る」みたいな感じで訪れる人も多いという。取材に伺った時にもたくさんの常連さんが来ていて、「じゃあ、また来ます!」といって帰って行くのを何度も見ることができた。
 
誰にとっても居心地の良い場所でありたい・・・それがバザールカフェの目指すこと。
 
子どもも地べたに座って遊べるような空間にするためにカフェ内ではスリッパに履き替える。トイレはバリアフリー化されていて、設計時には車いすを使用する人に実際に来てもらって確認したそうだ。「一人一人に向き合う」様子が様々な場面に表れている。
 
バザール7.png     バザール6.png
椅子やテーブルは全て手作りでぬくもりを感じる
 
 
カフェでの過ごし方も、本を読んだり、友達としゃべったり、ミーティングをしたり・・・みんながそれぞれのやり方で過ごす。
だから“雇用創出”や“多様性を受け入れる空間”といったカフェの目的はあえて表現しない。それぞれがそれぞれの仕方で過ごせる空間にするためには、「価値観のおしつけ」をしたくないからだと月下さんはいう。
 
バザール9.png 
▲カフェメニューの中にあるごはん
 
   バザール10.png
   ▲バザールカフェの店員さんと
 
 
~“理念はない”という理念~
バザールカフェでは店長も2年ごとに代わるし、その日来るスタッフやボランティアによっても毎日雰囲気が変わる・・・
 
『理念を持つと同じような人ばかりが集まってしまう。だから「理念」というマニュアルをつくらないようにしています。もちろんだからこそ失敗もあるし難しいこともありますが、知恵を出してその問題に向き合うことができるんです。』
月下さんによれば、最近の世の中はどんどん“社会的マイノリティ”の方々が生きにくくなっているという。そんな中、ここには当事者を大切にする意識が大切にされていることが感じられた。
だからこそ、みんなが居心地良くて集まり、「また来ます!」と言いたくなるような“居場所”になるのだろう。
 
『理念をもたないことが理念なんです』(月下さん)
 
 
バザール12.jpg
 
 
 
 
バザールカフェ Bazaar Cafe 
京都市上京区岡松町258
 
営業日:木曜~土曜
11時30分~20時
(ラストオーダーは閉店30分前)
※お盆、年末年始、年度の終わりと始めに不定期休業や短縮営業します。
 
電話:
075-411-2379
(木曜~土曜の営業時間内のみ ※休業中は繋がりません)
 
 
 
 
レポーター紹介 
つまがり.jpg
津曲陽子(つまがり ようこ)
マチレポを通して、普段何気なく過ごしてきたこのマチをもっと楽しみたいと思い、参加しました。京都の外から来ましたが、大学に入ってから外国観光客向けにボランティアガイドをしています。これからは観光地だけでなく、身近な地域・地元を深く知りたいです。
 

新規団体登録

団体登録いただきますと、あなたの団体も情報発信ができるようになります。あなたもカミングを使って情報発信していきましょう。

登録団体のブログ