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~自然にのびのびと町家で暮らす、働く~ 陶芸家生駒さんを訪ねて

 

 

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▲自らのアトリエを開放し、陶芸教室を開いている

 

 

 西陣で町家のライトアップイベントである「都ライト」に取り組む私たちは、前回取材させてもらったはちみつ専門店「ドラート」さんと同じく、三上家路地で陶芸家をしておられる生駒さんにお話を伺った。伺った時間帯は、ちょうど陶芸教室が終わるという時間だったのだが、生徒さんはほぼ全員残ってまだ熱心に作業をしていた。教室の時間が過ぎても、先生の指導を受けながらゆっくりと作業を進めることが出来る。生徒さんに先生はどんな人か聞くと、「とてもやさしい。他の陶芸教室にない、近い感じ。じっくり教えてくれる。」と答えてくれた。

 

 

 

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▲取材中の様子

 

 習っている人たちは1年ちょっとから7年習っている人まで様々。とてもあたたかい雰囲気の教室だ。そこには、生駒さんの陶芸を好きになってほしいという思いがある。
 
 まず初めに、生駒さんが陶芸の道に進んだ経緯を伺った。子供のころからお絵かきなどが好きだったそうで、初めてろくろを回したときに、平面のものではなく立体物を作る面白さを感じたそうだ。そして高校2年生の時に、大阪府高校展で奨励賞をもらったこともきっかけとなり、陶芸の道に進むこととなった。
 
 
 
 
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▲現代陶芸という種類のもので、一瞬陶芸だとは気付かないような不思議な作品
 
 
 
 次になぜ陶芸を町家でしようと思ったのかを伺ってみたところ、とても素朴な答えが返ってきた。生駒さんは、大学の修士課程のころから「独立すること」を目指していた。そのためにカルチャーセンターで有名な先生の陶芸教室のアシスタントとして働き、陶芸に必要な電気窯を買うために貯金をしていた。お金はないが、電気窯を置けて作業できる家がほしかったのだそうだ。そんな時に偶然美容室で西陣に良い町家があると紹介され、住居兼仕事場として町家を選んだ。
 
このように、生駒さん自身古い家は好きだが、町家に特別な思い入れがあって選んだわけではないという。町家には土間があり、電気窯が置けるスペースを確保できたことと、京都は陶芸の産地であるため良い材料が手に入れやすかったということ、そして出身大学が京都だったため、同じく芸術家の友達が、身近にいたことなどが京町家に住むという選択をするには大きかったという。
 
実際に入居してみると、それまでずっとマンション暮らしだった生駒さんにとっては、
歪みや傾きのある家に慣れず、最初の日は寝られないなどということもあったそうだ。若い女性が古い町家に住むのはつらいこともあったのではないかと思ったが、古いものを「かっこいい」と感じ、自分好みに少しづつ手を入れていく手間を惜しまず、その状況を楽しむという生駒さんのおおらかな人柄が、町家に住むという暮らしを豊かにしたのではないかと感じた。
 
 
 

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▲生駒さんの作品。土を素材とした彫刻のような花瓶

 

 その生駒さんのおおらかな人柄は、「京都に根を下ろして住む」という上でもよい作用をもたらしたのではないかと感じた。京都、特に西陣には町内会・地蔵盆・体育祭など、地域の行事がたくさんある。とても近い距離の近所との付き合いが、めんどくさいという声はよく聞く。
 さらに、生駒さんが西陣に住み始めたのは20代のころだ。若いとなおさら近所づきあいなどはめんどくさく感じる人は多いのではないかと思ったが、生駒さんは違った。密接だからこその良さがあるのではないかと私たちに教えてくれた。
 
 地域の人たちに受け入れられるまでは、時間がかかったそうだが、一人で住んでいる生駒さんを気遣ってくれる人がいた。地域の勝手がわからない間は、いろいろな当番を変わってくれたり、外に出ていると話しかけてくれる人が徐々に増えてきた。町の活動にできるだけ参加し、毎日会うことで言葉を交わし、交流を生んでいく楽しさなどを見つけ、「通りに守られている」と感じることも多くなっていったという。若者と地域がかかわることは一見難しいことのように思えるが、身近にいる人たちそれぞれの立場を受け入れて尊重するなど、当たり前であるけれども「おおらかな心」を持って接することが大切なのだと感じた。
 
 
 

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▲最後に生駒さん(中央)と三人で。横にある大きな壺は、学生のころに作ったものだそう。

 

 今回生駒さんへの取材を通してとても私の心の中に残ったのは、生駒さんの「自然にのびのびと生きる」という姿そのものだ。生駒さんはあまり多くを望まない。例えば、町家に住むことを決めたのも「電気窯が置ける自分が作業できる家がほしい」という条件であって、お風呂がついていなくても全く気にしなかったというエピソードや、地域の人との温かいやりとりなどからも生駒さんの多くを望まない姿勢とおおらかさと感じた。自分の目の前にあるものを自然に受け入れ、より良くしていこうとする姿勢がとても魅力的だ。私はまだ生駒さんのように自然体に生きることが出来ていないなと感じ、「そんな風になりたい」と尊敬する人が、また一人増えた貴重な経験となった。
 
 
 
○生駒さんの生徒さんたちの作品の展覧会(定期的に行われています)
10月12日から18日まで 10時から19時まで(最終日は10時から17時まで)
○生駒さんの作品が見られる展覧会
11月25日から ギャラリーマロニエ(四条)にて、グループ展予定
 
 
生駒啓子陶芸教室 
京都市上京区大宮五辻上ル西入ル紋屋町323
TEL : 075-415-3507  
E-mail : ikocchi@ca3.so-net.ne.jp
 
 
<同行した韓国人留学生・林 垠成さんの感想>
 私は「町家と現代陶芸(芸術)」、この組み合わせについて色々考えてみました。古くからの町家が、同じく昔からの伝統のある「陶芸」の作業場として使われていることに、まず感動しました。また、その陶芸において、形は新しいけれど、「陶芸・もの作りの精神はそのまま」で継承された「現代陶芸」が、「京町家の風土・精神は残しつつ、改良していく」という町家保存の姿勢や、生駒さんのように京町家に新たに根を下ろした人の志と似ていると思いました。又、芸術を通じて地域との交流(陶芸教室・展覧会など)を深めている部分が印象的でした。
 
 私の母国のソウルのような都会で近所との付き合いがどんどんなくなり、特に若者世代はそれが邪魔だと思う人が増えていますが、今回の取材で、町内会への参加や近所との付き合いを大事にする生駒さんの経験を聞き、韓国からの留学生としてすごく勉強になりました。身近な人との付き合いと絆を大切にすること、そして京都に住んでいる方々の地域愛を感じることができ、自分自身を含め韓国の若者もこのような態度を学ぶべきだと思いました。まず、ここ京都で住んでいて都ライトに参加している留学生として、西陣と町家、そして地域の方々との付き合いを大切にするのが大事だと思います。ありがとうございました。
 
 
 
レポーター紹介
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島崎梨奈
 
京都府立大学公共政策学部で、まちづくりについて学んでいます。京町家に思い入れを持
ち、今年は「都ライト」という町家のライトアップイベントの代表をしています。
ゼミでは京都丹波の地域活性化に取り組んでいます。
 
 
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林 垠成(イム・ウンソン)
 
韓国の国民大学で日本学を専攻しています。現在、立命館大学の政策科学部に留学中です。通学路でよく見る京町家に韓屋(韓国の伝統木造家屋)のような馴染みを感じ、都ライトの活動に参加しています。自分が感じた町家の魅力を留学生達にもどんどん伝えていきたいです。
 

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